出産時の処置:吸引分娩・鉗子分娩・会陰切開など

(3つの出産方法)
(3つの出産方法)

ここでは出産に必要な処置を解説していきます。

 

吸引分娩

鉗子(かんし)分娩

会陰切開

陣痛促進剤

卵膜剥離(はくり)

人工破膜

バルーン

 

それぞれについて理解しておきましょう。


赤ちゃんの出産を助ける3つの処置

(万が一のトラブルも安心!多くの処置がある)
(万が一のトラブルも安心!多くの処置がある)

お産は必ずしもスムーズに進むとは限りません。

 

万が一、何らかのトラブルがあった時にはどのよな処置が行われるのか、

 

事前に知っておくと安心できます。

 

出産には赤ちゃんの「大きさ」「回旋」

 

「産道の広さ」「陣痛」などが関係していますが、

 

 

全てがベストな状態で出産に望めるとは限りません。

 

子宮口が全開大になり、

 

赤ちゃんの頭が見えているにも関わらず、

 

その先のお産が進まない事もあります。

 

 

このような状態で居続けると、赤ちゃんに大きなストレスをかけてしまいます。

 

心拍の低下

酸素不足の状態が続く

 

などに陥る可能性が高くなり危険です。

 

そこでいくつかの処置があります。

 

赤ちゃんを早く出した方が良いと判断した時は、

 

吸引や鉗子(かんし)の手法を用いてお産をサポートします。

 

それぞれの手法をみていきましょう。

 

吸引分娩

・カップを頭に密着させて誘導する

吸引分娩とは、そのまま文字通りの方法で赤ちゃんの出産を手助けします。

 

金属製、またはシリコン製の半円球のカップを赤ちゃんの頭にのせ密着させ

 

カップ内を真空にし、赤ちゃんを引き出します。

 

鉗子(かんし)を使うより、引っ張りだす力は弱いですが、

 

赤ちゃんへの影響が一番少なく安心面が高い点がメリットです。

 

吸引された頭には一時的には痕が残ります。

 

また、頭が細長くなる事もあります。

 

これらの症状は時間が解決してくれるので放っておいても大丈夫です。

 

鉗子分娩(かんしぶんべん)

・金属製の器具で頭を挟んで誘導する

鉗子と言うと、ハサミのような鋭利な物をイメージするかもしれません。

 

しかし、出産で使用する道具は少し違います。

 

安全面を考慮した物になっています。

 

鉗子の形は、金属製の2枚のスプーンを合わせたような物をイメージしてもらえれば良いでしょう。

 

この道具を使用して赤ちゃんの頭を挟み、産道を押し広げるようにしながら引き出します。

 

吸引分娩より、強い力で引き出すことが出来ます。

 

しかし、

 

赤ちゃんの頭を挟みながら引き出すわけですから、

 

高度なテクニックを持った熟練した医師の力を必要とします。

 

赤ちゃんの頭に、少しだけ傷が残ってしまう事もありますが、

 

時間の経過と共に消えるので心配はありません。

 

会陰切開(えいんせっかい)

・裂傷を防ぐために行う

切開と言うと痛いようなイメージがありますが

 

麻酔をするので痛みは感じません。

 

安心して出産に望めるでしょう。

 

会陰の場所は、

 

膣の入り口から肛門までと、その周辺の事を言います。

 

出産の時に、この会陰はとても伸びます。

 

しかし、

 

伸びが悪かったり、赤ちゃんの心拍数が低下している時は

 

赤ちゃんの頭が出やすいように会陰切開をします。

 

切開しないと、裂傷ができたり、

 

ひどくなると肛門まで避けたり、

 

膣の内部にも裂傷が出来る場合があります。

・正中側切開

 局部麻酔をして、

 

医療用ハサミで3~5cm切開します。

 

一般的な切開方法は膣口の真下から斜めに切る「正中側切開」です。

29歳ママ
29歳ママ

「会陰切開をした後、

 

傷が痛みました。

 

ショーツを下す度に痛んだので股が

 

マジックテープで開けるようになっているショーツが役に立ちました。」

お産が始まらない、進まない時の対処法


(出産を手助けする4つの方法)
(出産を手助けする4つの方法)

妊娠がわかり2回目の健診~おおよその出産予定日が分かります。

 

その予定日が過ぎても陣痛が来ない、

 

陣痛が来ても中々お産が始まらない、

 

お産が進まない場合があります。

 

このような時には、出産を人工的に促します。

 

▼遷延分娩(せんえんぶんべん)

初産で30時間以上、

 

経産婦で15時間以上かかる

 

場合を「遷延分娩(せんえんぶんべん)」と言います。 

遷延分娩のような時は、

 

陣痛促進剤を使う事が多くなります。

 

他には人為的に卵膜を剥がす方法や、

 

破水を起こす方法があります。

 

このように、様々な方法で出産を手助けをすることになります。

 

その種類を1つずつ見ていきましょう。

 

陣痛促進剤

・誘発と促進を使い分ける

陣痛促進剤の使用目的は2つあります。

 

1つ目の目的は

まだ陣痛が始まっていない時に陣痛を促す事です。

 

2つ目は

陣痛が弱い時にその陣痛を強くする目的です。

 

破水した後に中々陣痛が始まらず、

 

感染の心配がある時や、

 

妊娠42週近いのに陣痛が来ない時などには、

 

陣痛を誘発して無理矢理陣痛を起こします。

 

一方、

子宮口の開大が進まず、陣痛が弱い時は陣痛を促進します。

 

 

注意点

陣痛促進剤を使用するときは、

 

必ず分娩監視装置で子宮収縮と赤ちゃんの状態を観察する必要があります。

 

点滴の投与量は細かくコントロールしなくてはなりません。

 

医師が全て行ってくれますが、知識として覚えておくと良いでしょう。


陣痛促進剤を使用するケース


(陣痛促進剤を使用するケースは6つある)
(陣痛促進剤を使用するケースは6つある)

(1)微弱陣痛

陣痛が弱く中々お産が進まない場合

 

(2)前期破水

破水後24時間経過してもお産が始まらない場合

 

(3)過期妊娠

出産予定日から既に2週間を経過しても始まらない場合

 

(4)合併症

妊娠高血圧症候群や糖尿病などの合併症がある場合

 

※合併症があると、妊娠が長引くと危険な為

 

(5)遷延分娩

初産でお産に30時間以上かかっている場合

 

(6)軟産道強靭

軟産道がかたい為、お産が長引いている場合 

卵膜剥離

・卵膜を剥がし、刺激する

赤ちゃんを包んでいる卵膜を子宮壁から少し剥がす処置をすると、体内に刺激が起きます。

 

この刺激により、

 

陣痛を無理矢理起こす事ができます。

 

中々お産が始まらない場合には誘導できます。

 

また、子宮口が開かない場合の対処法としても有効で、子宮口が開き始めたりします。

 

人工破膜

・破水を起こし刺激させる

子宮口が開き、陣痛も来ているのに

 

お産が中々進まない場合があります。

 

そのような時には、

 

卵膜を破り、人為的に破水を起こします。

 

破水すると、赤ちゃんの頭が下降してきてその刺激によってお産が進む事があります。

 

バルーン

・少し開いた子宮口に使用する

子宮口を押し広げる時に「バルーン」を使用します。

 

水風船のような物をしぼんだ状態で子宮口にセットして、

 

滅菌した水を風船内にセットして膨らませます。

・子宮が開かない

・少しだけ開いたけど陣痛が来ない

・陣痛が弱い

などの症状の時にバルーンは有効です。

 

バルーンの正式名称は、

 

「メトロイリンテル」と言います。

 

以上が出産が中々進まない場合の対処法です。

 

出産スムーズにうまく行く人と、

 

いわゆる難産(時間がかかる人)とに分かれますが、

 

必ず無事に出産させてくれるでしょう。

 

皆様の出産がスムーズに行くように心より願っております。